GGA News Letter Vol.51 2010 Tour of China

 

ツアー・オブ・チャイナ レースレポート
 
五十嵐 丈士
 

 
プロローグ
 
公園の周りを1周する3.4kmの個人タイムトライアル。
会場はホテルから近いため自走で移動。
スタート時間に合わせて入念にアップを済ませる。
 
スタート順はシンガポール人のヴィンセント、タイ人のバス、日本人の五十嵐、そして韓国人の2人、チョングワンとジュノーだ。
韓国人2人は昨夜遅く到着したためスタート順を最後にしてもらった。
各人コンディションは悪くないとはいえ、移動の疲れが出ているためか、タイムも良くない。
タイムの一番良いジュノーでさえトップから20数秒遅れで、早くも総合順位で差が着いてしまった。
優勝はNutrixxion SparkasseのDirk Mulleur
 
第1ステージ Xi’an 126km
 
プロローグを終えての実質的なツアーの初日。
西の古都 西安の街の中を大きく10周回する。
前日のプロローグで総合タイム、ポイントでも差がついているため、チームの狙いは2回ある山岳賞。
少人数に逃げに最低1人は乗せて、山岳賞を獲れば、この日でジャージを着ることができる。
しかし、スタートしてからのアタック合戦が途中の山岳賞、ポイント賞までもつれ込み、すべて集団でのスプリントになる。
結局チームの中からは誰も絡むことができなかった。残り2周というところでこの日一番の逃げが5名ほどでできたが、これも最終周回には吸収され、ゴールスプリントに。優書したのはFly V AustraliaのAaron Kemps。
グムサンからはバスの13位が最高位だった。
タイム差は変わらず、総合も変動なし。
 
第2ステージ Xi’an-Huashan 118.8km
 
この日から、これまで滞在していた西安を離れ、移動する。
でも自転車でだ。118kmのロードレース。
でもコースはいたって平坦。
しかも、交通規制の問題から、コースは全て高速道路を使う。
当然道幅は広く、見渡す限りの一直線。
総合でのタイム差は1分以内の僅差なので、そうそう大きな逃げはいかしてくれない。
当然リーダーチームがコントロールする。それでも逃げなきゃ始まらないので、アタックしては逃げを試みるが、なかなかどうして。
この日はグムサンからは誰も逃げに乗ることができずに、しかしリーダーチームのコントロールにより全ての逃げは吸収されスプリントに。
…が、この日のゴールは残り500mを一気に駆け上がる上りのゴール。
時速60km/h以上で最終コーナーを曲がってそこには壁が…。
優勝したのはまたもやオーストラリア人のDavin Tanner(Fly V Australia)。
バスは最後までもがき切ったものの14位でフィニッシュ。
 
第3ステージ Sanmenxia-Luoyang 142.7km
 
この日も高速道路を走るラインレース。
コースレイアウトは前半が上り基調で後半に下り基調の緩いアップダウン。
風は向かい風で、上りも進まない。ちらほらとアタックをした選手に後ろから数名が追いついていき逃げが形成されるという構図がしばらく続いた。
既に第1ステージの落車によりチーム員が4名になっている状況で、韓国人のチョングワンが2回もパンクトラブルで後退を余儀なくされ、残りの選手でアタックに反応していくが、どうにも対応しきれない。
リーダージャージもいるからと様子を伺っていると、すでに前には20名以上の大集団が。
うちのチームからは誰一人乗っていない。
かといって残り少ないメンツで100km以上も集団をコントロールするわけにはいかない。
…と思っていると、前にチームメイトを送っていないチームと、リーダーチームが協力してコントロールに入った。
結局この日もスプリントになったが、内容的にはチームとしては最悪で、たまたまラッキーな展開に恵まれただけのことだった。
優勝したのは第1ステージでも勝ったオーストラリア人。Aaron Kemps。
 
第4ステージ Luoyang-Zhengzhou 173.3km
 
翌日の移動日を前にツアー5日目のこの日。
距離は170kmオーバーと、今ツアーの中では最長。
総合タイムで以前変動はないものの、逃げを決めれば一気に総合で上位にジャンプアップもできる。
今までスプリントも山岳賞もいいとこなしのグムサン・チームとしては、是が非でもステージを獲りたいところ。
生粋のスプリンターのいない今回のチーム編成では、まず逃げることが優先課題。
序盤の逃げに乗ったのは自分だったが、これは20名以上もの選手が入っており、さまざまなチームの思惑が交錯して協力関係が築けずに崩壊。
最初のスプリントポイントを過ぎたところで吸収されてしまった。
ほどなくして5名が逃げたが誰も送り込むことができなかった。
結果だけを見れば、リーダーチームのコントロールによりこの日もスプリントになったのだが、ステージを狙うために逃げをうつというという点ではまだうまくチームの中での連携が取れていない。
この日のステージ優勝はジャイアント・アジアのRico Rogers。
総合リーダーはこの日3位につけたFly V AustraliaのDavid Tannerにわたった。
 
第5ステージ Taishan 109km
 
移動日を一日挟んでのこの日は唯一アップダウンのあるコース。
最後は10kmほどを上っての山頂ゴール。
距離も短く傾斜も緩いため、我がチームのクライマーであるタイ人のバス、韓国人のゴン・ジュノーを上りでなんとか上位に食い込ませるためには、逃げたとしても上りに入るまでには最低でも2.3分のアドバンテージは欲しいところ。
しかし、この日0kmからのアタックに乗ったのは自分だった。
ウォン・カンポを含め7名でローテーションをするが、最大タイム差は1分半。
後ろもオーストラリアのリーダーチームがしっかりコントロールをしている。
結局40kmほどで捕まってしまい、レースは振り出しに。その後もほかのチームが逃げるものの、上りに入るまでには全て捕まり、上りは集団で駆け上がっていく。
勝ったのは今まで一昨日までリーダージャージを着続けていたドイツ人のDirk Muller。
再びイエロー・ジャージに返り咲いた。
バスは19位でステージをフィニッシュ。
28秒遅れだが、今までのタイム差を合わせれば1分14秒と総合でも脱落してしまった。
ジュノーは2分45秒遅れの53位。
自分は3分以上遅れ61位でのフィニッシュとなる。
 
第6ステージ Shijiazhuang 85km
 
再び移動日を挟んでのこの日、前日から降り続いた雨はスタート直前まで降り、路面はウエット。
冷たい風が吹き、ウォン・カンポも軍手をはめながらアップをしていた。
当初予定していた市内を巡るクリテリウムは、交通規制の問題で大きな環状線を2周する大きな周回コースに変更された。
基本的にはアップダウンの無いほぼ平坦のコース。何
度か逃げようとするが、すぐに捕まってしまった。4
0kmを過ぎたあたりで7.8名くらいが抜け出すがうちのチームからは誰も乗っていない。
しかしリーダー・チームがすぐにコントロールにはいりゴールスプリントに持ち込まれた。
この日ジュノーのリードアウトでバスが4位に。ジュノーも13位に入った。勝ったのはジャイアント・アジアのGene Rogers。
総合に変動はなかったが、この日はスプリントを獲りにいったジャイアント・アジアのRico Rogersがポイント賞を獲得した。
 
最終日 Tianjin 85km
 
ここまできたら何も失うものはない。
総合も脱落し、山岳ステージもポイント賞も圏外とあっては、ステージ優勝以外に残された道はない。
川沿いの道路を10周するド平坦のコース。
途中3回あるポイント賞のカウンターを狙ってアタックするが、どれも決まらない。
アタックは全て潰されスプリントに持ち込まれた。
バスがこの日6位にはいったが、表彰台には届かなかった。
 
ツアー・オブ・チャイナを終えて
 
ほとんどのステージでスプリントに持ち込まれた今回のツアー・オブ・チャイナ。
 
スプリンターという絶対カードを持っていなかった自分たちはスプリントに持ち込まれないようにするレース展開をもっと作っていくべきであった。
タイムトライアルから総合に差がつけられてしまった以上、個々の戦力アップはもちろんであるが、スプリントになった時のポジション争い、チーム内の連携など、技術的な部分でカバーできる部分も多分にみられた。
それを機能させるためのチーム内でのコミュニケーションや意思の疎通などが今後のレースの課題である。
 

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